望月桂@丸木美術館

美術のみかた

美術ジャーナリストで画家の村田真さんが最近みて面白かった展覧会として、「原爆の図・丸木美術館」で7月6日(日)まで開催している「望月桂 自由を扶くひと」をあげていたので、みにいってみたいと思いました。

しかし、丸木美術館を調べてみると、行きづらそうな場所にあり、私が住んでいる横浜市からは1日がかりでないと行き来が難しいことがわかりました。

行きたいけど、どうかなとスケジュールとにらめっこ。

なんとか鬼の気持ちで1日お休みを作って行ってまいりました。

当初は雨予報でしたが、快晴。

つきのわ駅から約徒歩30分とのことでしたが、「村田真さんはいつも歩いちゃってる。」ということで、私も歩くか。いつもだいたい寿町まで歩いて行っているし30分くらい普段から歩くしな。ということで、てくてく歩いて行きました。

ほかにもアクセス方法がありますので、丸木美術館ホームページを参照にしてください。

丸木美術館アクセス

中途半端な時間に着いてしまい、お昼ぬきで歩き始めました。

猛暑のなか、ぶったおれないようにしようと思いながら、歩いていましたが、木々や緑がたくさんあって心地よい風を感じながら歩きました。

途中、食堂があり、ここで何かを食べないと私はもう何も食にありつけないかもしれない?と思いながらも、先に展覧会をみたい一心で歩みを進めました。

そしてついに到着!

優しい言葉にほっとします。

あら、かわいらしい建物。

これが丸木美術館?

勝手に重いイメージがありましたが、受付の方も優しい雰囲気です。

先日、とある支援団体の映画の会にお邪魔した時も今回の受付の方に同じように、「これをすると安くなりますよ。」アドバイスをいただきました。

なんでしょう。一見重いと思っていた活動をされている方は意外にそんなことはなく、優しくてフレンドリーな方が多い印象です。

報道が、重く見せているのかもしれません。

さて、いざ丸木美術館へ!

と、意気込んでドアを引いたら、向こう側にも同時に扉を押している方がいて「あっ、どうぞ。」と一時ゆずりあいみたいになりました。

順路はまず2階の「原爆の図」から。

緊張します!

自分が絵に持ってかれないようにしないと!と、思いながら階段を一段、一段のぼりました。

そこには、全8作品の原爆の図が鎮座しておりました。

ここ2階の原爆の図は、作者、美術館、作品名を記入すればSNS等に転載可能とのことでした。

この作品は、原爆の図第5部《少年少女》 丸木位里・俊 1951年 180cm×720cm 原爆の図丸木美術館蔵

みてすぐに思ったのは、とにかく絵が美しいことです。

もう戦争は二度と起こしてはならない!という気持ちを伝えていくには実際に何があったのか、目をつぶらなくてはならない表現もあると思いますが、表現として卓越しているところがあり、タッチが優しいので無理なくスッとみることができます。

みにいかなければな。と思いながらみにくることができなかったのは、きっとみたら辛いだろうな。苦しいだろうな。と思ったからです。

しかし、実物はそんなことはありませんでした。

確かに辛く重くのしかかってくるものはありますが、とにかくそれ以上に優しさの方がはるかにまさっている絵だと私は感じました。

原爆の図8部《救出》部分 1955年 180cm×720cm 原爆の図丸木美術館蔵

座るところもあり、ゆっくり座ってぼんやりと眺めてきました。

1階には、他にも丸木位里さん俊さんの共作があり、こちらは撮影不可でしたが、いずれも素晴らしい作品でした。

さて、望月桂さんの展示へ。

こちらも会場全体の撮影はよいですが、個別の撮影は不可でした。

その代わり、無料で一人一冊持ち帰ることができるZINEがあり、これが読み応えがありました。

展覧会カタログくらいのボリュームです。

最近、写真を撮るのに夢中で、せっかく本物をみているのに、結果、フィルター越しにしかみていなかった。というパターンに陥り、なるべく展覧会場ではよっぽど気になったものでない限りは写真を撮ることをやめています。

電源を切って、デジタルデトックスをしてしっかり作品と向き合うのが、最近の私の美術館の楽しみ方です。

望月桂さんの展示も情報量が多く、あとでじっくりZINEで読み返すことで、より展覧会の内容を自分の中にインストールすることができました。

タイトルも素敵で、確かに望月桂さんは「自由を扶くひと」でした。

今回の望月桂さんの作品の公開により、歴史の中でぼんやりしていた部分の輪郭がはっきりしてきたような気がします。

特に、史実だけで追っていたものの背景にあった人間の思いや交流について知ることができました。

望月桂さんのような人がいてくれたんだ。ということに感動しています。

※望月桂さんは、無審査で誰もが参加できる自由度の高い芸術団体「黒耀会」を結成した芸術家で、大杉栄をはじめとする労働運動家や文学、演劇など様々な表現者と交流した人で、近年再発見された方です。

望月桂さんの展示室の脇にちょっと靴を脱いで入れるところがあり、入ってみると、丸木位里さん俊さんのアトリエにつながっていました。

素敵なアトリエでした。

なんとなく居心地がよくてのんびりとしたあとに、外に出てみると、素敵な自然が広がっています。

さて、これから気合いをいれて駅に戻るぞ!と歩き始めたら、おじさんに「バス停まで歩くんですか?駅?」ときかれ、「駅です。」と答えると、「頑張って!!」と元気づけられました。

帰りは違う道をたどってつきのわ駅まで帰りました。

駅前にショッピングセンターがあるので、そこで少し買い物をして涼みました。

一度来てしまうと、今は交通の便もよく、横浜からはほぼストレートで来れるので、また訪れたいと思いました。

2025年からは改修工事が始まり、当面休館するようで、2027年の春に再オープンするそうです。

その前に行くことができてよかったです。

望月桂さんと丸木位里さん俊さんの展示をみて、戦争を起こしてきたそもそもの原因がどこにあったのか、そしてそれを二度とお起こさないためにはどうしたらよいのか、ひとりひとりがどんな気持ちで日々過ごしていたらよいのか、そんなヒントをいただいた気がします。

いつももっと早くみてもっと早く紹介できればと思いますが、ギリギリです!

行ける方はこの土日にでもお出かけください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました